起業と分業

生きていてふと疑問に思うことがある。

今この場で1000円稼ごうと思ったらどうするか。

アルバイトを始めるのが一番早い。

そしてそれを1時間続ければ1000円なんて簡単に手に入る。

 

しかしアルバイトをしないでゼロから1000円を生み出そうと思ったらどうだろうか。

路上でパフォーマンスをするとか、山や海に行って山菜や魚をとる?

もしくは会社を起業する?

しかしそれをいくらやったところで本当に1000円どころか価値を生み出せるかどうかは甚だ疑わしい。

 

なぜ、どんなにだらけた1時間だったとしてもアルバイトの1000円と、どんなに考え尽くして努力をしてゼロから生み出した1000円は同じ価格なのだろうか。

 

答えは経済の根本である「分業」にあった。

ここからは「国富論」の考え方に帰属する。

 

昔、釘を作って売ろうと考えたときに一人では1日でどんなに頑張っても15本くらいが限界だったという。

しかしある職人たちは協力して複数人で釘作りの行程を分担して行なった。

するとどうだろう。10人で1日約40000本を作ることができるようになった。

一人当たり約4000本。一人で行ったいた時の約270倍の釘を生み出した。

釘作りという一見単純そうな仕事でも分業することで生み出せる生産物の量は大きく異なる。

 

現代社会においても根本の考えは同じ。

企業で多くの人間が協力して大きな生産物を生み出すその一番下の方の人間がアルバイトというわけだ。

これがアルバイトとゼロから生み出す1000円の難しさの違いの理由。

 

だからゼロから価値を生み出すのは、まして起業なんてするのは簡単じゃない。

でも釘を作る火を生涯起こし続けるより、今この世にない新しいものをつくりたい。